だから僕が庭をつくるのであれば、靜かな空間をつくります。全體に木を植えるのではなく、盆栽をポンと一つ。その空間を巻き込んでいくようなシンボルとなるものを置くのがいいですね。また、庭までのアプローチを楽しめるのもいいと思いませんか。僕は狹い路地が好きなので、細く長いアプローチを楽しんだ先に、盆栽のようなシンプルなものを置いた庭というのに憧れます。
當初は、日本文化を継承したいと思ってこの世界に入りましたが、作品を殘していくことが継承ではなく、人を育てていくことこそ文化を継承するには必要だと最近になって気づきました。であれば、やはり次の世代をつくることが、僕の使命。盆栽に興味を持ってもらう間口を広げるために、パフォーマンスはもちろん、盆栽がある空間でみんなお酒を飲んだり、ワークショップなどの教室を定期的に開いたりと、これまでにない形で展開していきたいですね。そうすれば10萬人に1人くらいは、盆栽を生業にしたいと思う人が出てくるのではないのでしょうか。そういう人と縁をつなげていけたら本望です。